キュレーションアプリが支持される理由
電通PRが「"使いやすい"を侮るなかれ!キュレーションアプリからユーザーが離れない理由」という記事を書いています。
スマートニュース執行役員の藤村さんへのインタビューです。
藤村さんは「情報流通に起きている変化」として三つ挙げています。
引用します。
①ニュースのアンバンドル化:1つのコンテンツがいくつものメディアに載ることによって、コンテンツとメディアが分離可能な時代になった
②モバイルとウェアラブル:新聞・TVはコミュニケーションのきっかけに過ぎなかったが、スマホの登場によって、ニュースを運ぶ媒体とコミュニケーションツールが一体化した。最近登場したウェアラブルも、それを加速しようとしている
③希少性から過剰性へ:情報は今、希少性でなく過剰性の経済のなかで回っている。メディアの価値は、コンテンツにではなく過剰なコンテンツを選別する"サービス"にあるのではないか
この③にある「過剰なコンテンツを選別する『サービス』」こそキュレーションアプリが支持される理由でしょう。
もう一つ思うのは、「ニュースは読みたいけど、特定の新聞社の記事だけを読むのはどうも偏りがあって嫌だ」という人が増えている、ということです。
「ネット上には朝日新聞の悪口ばかり書かれているし、かといって産経新聞が書いていることはうさんくさいし、誰か中立的な立場でニュースを整理してくれ!」という感じなんでしょうね。
キュレーションアプリなら、そのメディア特有の色がついていないので(今のところ)、バランス良く情報を摂取できていると感じるんでしょう。
そもそも論として、メディアごとに色がついているのは悪いことではないし、むしろ海外では当たり前のことです(ニューヨークタイムズやワシントンポストはリベラルだし、FOX系は超保守ですね)。
日本でも今まで、新聞ごとの色というのはあったんでしょうが、読者はさほど意識していなかったように思います。
その証拠に「日本の新聞はどこも同じ」と言われてきたし、「朝日と読売を3カ月ごと交互に取る」なんて家もよくあったわけです。
ネットの普及により、特に若い世代にはその辺の色がくっきり見えるようになってきた。
そして、日本人ゆえ、自分に特有の色がつくのを嫌うんでしょう(いわゆるネトウヨも、「放射脳」と呼ばれる極左っぽい集団も、「ヤバそうな人たち」に見えるという点では共通しています)。
キュレーションアプリがそういう「無色でいたい中間層の若者」の受け皿になっているように見えます。
となると、彼らが今後、紙の新聞を取る可能性はほぼなさそうです。
少なくとも「大手5紙がコンテンツを出し合って作る日刊新聞」みたいなのが出てこない限り、中間層は1紙に月4千円も出してくれないでしょう(そんなのがあっても高いからいらない、と言われるでしょうけど)。
そう考えると、新聞社としては、この「タダでニュースを読んでいる層」からいかにニュース代を徴収するかが会社存続のための至上命題になります。
前に書いた通り、新聞社全体で手を結び、新聞社発の記事を全て有料化するべきです。
「ニュースはただじゃない」という意識を若い世代に広めないと、経営体力のないところからつぶれていくでしょう。