朝日は「攻めの広報活動」を
「朝日新聞をたたく」というのは、今に始まったことじゃありません。
週刊新潮や週刊現代は、ネット普及以前から、熱心に朝日批判を続けてきました。
理由は「朝日をたたくと雑誌が売れる」からです。
つまり、「朝日新聞が熱烈に嫌い」という人は、以前から一定数、存在したわけです。
この時代は朝日新聞も黙って見ていればよかったんですね。
紙の雑誌の読者数はせいぜい数十万部で、しかも朝日批判に賛同する人はその一部に過ぎなかったから。
ただ、ネットの普及で状況が変わりました。
一部のアンチ朝日の人たちが、積極的に朝日批判を発信し始めたからです。
ツイッターや匿名掲示板を使って、あることないこと朝日をたたきまくるようになりました。
少し話がそれますが、これは最近の「Yahoo! 知恵袋」から。
「朝日の株主が韓国系ファンド」とかめちゃくちゃなことを書いてます。
ひどいなあ。
実際は、筆頭株主は「従業員持ち株会」、2位がテレ朝、3位と4位が社主です。
こんなことは有価証券報告書を見ればすぐ分かります。
で、こうしたアンチ朝日の人たちは、人数は少ないが、一人一人がやたらに熱心なんですね。
一生懸命にネガティブキャンペーンを続けてきました。
問題は、このネット時代においても、朝日新聞が依然としてだんまりを決め込んでいる点にあります。
おそらく「いい記事を書き続けていれば、世間のみなさんは分かってくれる」と考えているんでしょう。
上の投稿のような名誉毀損級の書き込みも放置です。
すると何が起きるか。
私には、朝日へのネガティブキャンペーンが効果を上げ始めているように見えます。
ニュートラルな中間層を侵食し、朝日に対する悪い印象を持たせることに成功していると言えます。
特に影響を受けていると思われるのは若年層。
彼らはネット情報に触れる時間が長い。
そこに朝日新聞への悪口ばかりが書かれていれば、初回のブログに書いたような「なんとなく朝日新聞が嫌い」みたいな人が出てくるのも当然と言えます。
これはNewsPicksで「集団的自衛権問題でニュース面が論説面化――客観報道とは名ばかりの朝日と読売」という記事を扱った際のコメント欄。
比較的若めユーザーが多いが、朝日への悪口もたくさん見受けられます。
ネガティブキャンペーンの影響を受けた人も少なくないでしょう。
朝日新聞社は一度、PRとか広報宣伝の会社に相談して、現状を分析してもらうべきだと思います。
「何も手を打たずに放置」という戦略が、果たしてこのネット時代においてもベストなのかどうか。
このネガティブ情報がブランドイメージをどれほど損なっているのか、あるいは潜在的な読者を失っているのか。
これだけネガティブ情報ばかりがネットにあふれている会社も珍しいので、広報の専門家も面白がって対策練ってくれるんじゃないですかね。
ツイッターなんかを見ていると、記事に対するまともな批判もたまにあるので、それが拡散されていくのにどう対応すべきかも考えた方がいいです。
今までも広報部というのはあったでしょうが、読者からの問い合わせや苦情に対応するだけだったはずです。
ソーシャルメディア全盛の今、「攻めの広報活動」が欠かせません。
相手にしても仕方のない批判や悪口は無視していいけど、例えばツイッター上のまっとうな指摘などに対しては、誠実に対応すべきでしょう(取材を受けた人が記事について文句を言い、それが拡散しているケースもあります)。
上みたいな名誉毀損級の書き込みについては、厳しい対応をしてもいいかもしれない。
いずれにせよ、朝日の幹部が「ネット上の悪口やデマなんて信じる人いないでしょ」といまだに考えているとしたら、大間違いだと思います。